『コミュニケーションにおける2者間のリズム同期』

共創言語進化学若手の会主催「コミュニケーションセミナー」
第2回セミナー:2021年10月27日(水)
筑波大学川崎氏の発表
 
脳内のニューロン間で電気信号が同期したものが脳波として測定される。
ニューロンが「リズム」を合わせて信号を出し合う。
リズムがあってないと測定される脳波はバラバラで「波」が観察されない。
 
人と人とがコミュニケーションを取る際にも「リズム」を同期させる。
具体的には、二者間の脳波に同期が見られる。
これは、人と人とがお互いに相手のことを考えて調整しあっているということ。

自閉症の場合、相手の気持ちを理解できないという特徴があるため、「協調タッピング課題」をすると、相手が人だと合わせられないことになる。リズムを取ることができないわけでないのは、人でなくPCが相手だと、合わせられることからわかる。つまり、リズムが取れないのではなく、人の気持ちがわからない、ということになる。

Kawasaki et al. (2017)によれば、社会的なやりとり(人とのコミュニケーション)が苦手で、特定の行動の繰り返し(こだわり)が強いという特徴は、これまで二つの別の特徴と思われてきたが、脳波の同期がとれないという一つの原因から両方が説明できる、とのこと。機械ではなく揺れのある人にリズムを合わせようとすると、前頭葉でシータ波が多く出て(認知負荷がかかった状態)疲れてしまうというのが自閉症脳の特徴。疲れないようにするために、揺れのある人ではなく、キカイテキな規則的なことを好む、と説明される。(日本語の説明はこちら

なるほど。だから「自閉」症なわけだ。人とのコミュニケーションが苦手で、一人閉じこもる。もしくは、一見、人と話しているように見えても、相手と共同で会話を成り立たせるという通常の会話で行われる「co-construction」がなく、聞く人の気持ちは考えずに、自分が言いたいことだけを話し続ける。