R !!!dispersion 分散率 {{outline}} ---- !!DP (Deviation of Proportions) *ある語のn個の部分に分けたコーパスでの分散の程度を示す指標 !!計算方法 ! 1. コーパスをn個に分けたそれぞれの部分を%で比率を出す。(期待値) ! 2. ある語の出現率を各部分ごとに%で比率を出す。(観察値) ! 3. 期待値と観察値の差の絶対値を出す。 ! 4. 絶対値を足し合わせて、<<2>>で割る。 -1 =< 0 =< 1 の絶対値の幅が2あるので、 2で割ることで、最小0・最大1という指標となる。 !!計算方法の例 ! 1. コーパスを4個に分けたそれぞれの部分を%で比率を出す。(期待値) * 均等に4つに分けたとして、 ,コーパスの部分, その比率 ,a,0.25 ,b,0.25 ,c,0.25 ,d,0.25 ! 2. ある語の出現率を各部分ごとに%で比率を出す。(観察値) * 架空の例として、0.50, 0.25, 0.15, 0.10とする。 ,コーパスの部分, その比率, 語の出現率 ,a,0.25,0.50 ,b,0.25,0.25 ,c,0.25,0.15 ,d,0.25,0.10 ! 3. 期待値と観察値の差の絶対値を出す。 ,コーパスの部分, その比率, 語の出現率,|差| ,a,0.25,0.50,0.25 ,b,0.25,0.25,0.00 ,c,0.25,0.15,0.10 ,d,0.25,0.10,0.15 ! 4. 絶対値を足し合わせて、<<2>>で割る(<<0.25>>) 0.25 + 0.00 + 0.10 + 0.15 = 0.50 0.50/2 = 0.25 ! 注1:観察値も、均等になっていた場合(<<0>>) * すべての差が0となって、合計したものを2で割っても0となる。均一。 ,コーパスの部分, その比率, 語の出現率,|差| ,a,0.25,0.25,0.00 ,b,0.25,0.25,0.00 ,c,0.25,0.25,0.00 ,d,0.25,0.25,0.00 ! 注2:観察値が、1か所に偏っていた場合(<<0.75>>) ,コーパスの部分, その比率, 語の出現率,|差| ,a,0.25,1.00,0.75 ,b,0.25,0.00,0.25 ,c,0.25,0.00,0.25 ,d,0.25,0.00,0.25 (0.75 + 0.25 + 0.25 + 0.25)/2 = 0.75 !!評価方法 ! 値は0と1の間。 ! ある語が、すべての部分に均等に出現しているほど、値は0に近くなる。 !!Gries 2008の提案: GP{{sub norm}} ! 上で計算したDPを<<1-(1/n)>>で割ることで正規化する + 架空の例の場合  :0.25/(1-(1/4))= 0.333 + 均等に観察された場:0 + 1か所に偏った場合:0.75/(1-(1/4))= 1 !!Lijffijt and Gries 2012の修正案: GP{{sub norm2012}} ! 1-(1/n)ではなく、<<1-min>>で割る * minとは、分割したコーパスの最小部分の割合 + 架空の例の場合  :0.25/(1-0.25)= 0.333 + 均等に観察された場:0 + 1か所に偏った場合:0.75/(1-0.25)= 1 *上記の例では、均等に分割したので、最小部分も(最大部分も全部)0.25で、結果は、Gries 2008と違いはない。 *コーパスの分割が大きく偏った際に、違いが出る。 *コーパスの分割をほぼ均等にする場合、事実上、違いはない。 !!References Lijffijt and Gries 2012. Correction to Stefan Th. Gries’ “Dispersions and adjusted frequencies in corpora”, International Journal of Corpus Linguistics, 13:4 (2008), 403–437 Gries, St. Th. 2008. “Dispersions and adjusted frequencies in corpora”. International Journal of Corpus Linguistics, 13 (4), 403–437. Gries, St. Th. 2010. “Dispersions and adjusted frequencies in corpora: Further explorations”. In St. Th. Gries, S. Wul¯ & M. Davies (Eds.), Corpus Linguistic Applications: Current Studies, New Directions. Amsterdam: Rodopi, 197–2 !!そもそも、全体をいくつに分けるとよいかという問題 !一番細かく分けるとしたら、データの最小単位ごと !もしくは、全体を何分割するかという問題 !分割するサイズが、大きい場合と小さい場合でどうなるか !実例:ICNALEのエッセイで日本語母語英語学習者A2レベル154人 *接続語句 however の使用頻度 *一人が二つのエッセイを書いている *二つのエッセイを合わせた全体での使用頻度 *154人308エッセイ全体で、94回出現 ,ケース,DP, GriesDP2008, GriesDP2012, 分析単位当たりの平均 ,人ごと(1人x154分割), 0.669, 0.673, 0.673, 0.6 ,22分割(7人x22分割), 0.243, 0.254, 0.254, 4.3 , 7分割(22人x7分割), 0.120, 0.140, 0.140,13.4 !結論:大くくりにするほど、分散率は下がる。 *分散率が下がるということは、より「均一」に分布していることになる *おおざっぱにするほど、違いは見えなくなる、ということ。 *分散率が報告されている場合、全体をいくつに分けたかに注意。 !!Related sites https://educationalresearchtechniques.com/2017/08/09/diversity-and-lexical-dispersion-analysis-in-r/ https://osf.io/rpfb8/ https://krbrick.github.io/ https://rpubs.com/Naomi_2017/495585