{{category HSP}} !!!08. 学習効果の分析:学習の前後における平均点の推移 {{outline}} ---- !!08.1 3回のテスト +事前テスト +事後テスト +遅延事後テスト ! 参考例: マルチメディアCALL教材の学習効果を調べた例 杉浦・岩崎(2003)日本語学習者のための擬音語・擬態語学習用マルチメディアCALL教材の改善に向けて http://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/bpub/research/public/forum/23/01.pdf * 教材に含まれていて学習した項目(実験項目群) * 教材に含まれていなかった項目(統制項目群) * 学習の事前・事後・遅延で、成績に差があるか。 {{ref_image giongogitaigo.jpg}} !差があるかどうか +実験項目群について、事前・事後・遅延の成績に差があるか? +統制項目群について、事前・事後・遅延の成績に差があるか? +実験項目群と統制項目群とで、事前・事後・遅延の成績に差があるか? !!08.2 平均の差の検定:分散分析 * 「分散」(バラツキ)を分析する * データの「バラツキ」が、何らかの理由(要因)によるものなのか、偶然の誤差なのかを判定する。 * 「要因」の数により、「一要因」から「三要因」まである。 * 集めたデータが、一人の被験者からとった複数のデータ(「被験者内」) なのか、複数の被験者からとったデータ(「被験者間」)なのかを区別する。 * 要因が複数ある場合は、「混合」(被験者内と被験者間)の場合もある。 !!08.3 分散分析のタイプ ! 要因の数とデータの性質の組み合わせ {{pre As(1要因参加者間) sA(1要因参加者内) ABs(2要因参加者間) AsB(2要因混合) sAB(2要因参加者内) ABCs(3要因参加者間) ABsC(3要因混合) AsBC(3要因混合) sABC(3要因参加者内) }} !!08.4 分析の手順 +分析のタイプを決める。 ++要因はいくつあるか ++それぞれの要因は「被験者内」か「被験者間」か ++それぞれの要因に「水準」はいくつあるか +分析にタイプに合わせてデータを整形する。 +データを読み込む。 +分析のタイプに合わせて、コマンドを実行する。 !!08.5 分析のタイプの例 * トレーニングをする前と後で成績が上がるか(一要因・被験者内・二水準) * トレーニングをする前と後、そして、しばらくしてからも効果が残るか(一要因・被験者内・三水準) * 文学部、工学部、理学部で、英語の成績に差があるか(一要因・被験者間・三水準) * 漢字の画数が多い熟語と少ない熟語で読む時間に差があるか(一要因・被験者内・二水準) * 漢字の画数が多い熟語と少ない熟語で、実在する語と実在しない語とで、読む時間に差があるか(二要因・被験者内・2×2) * 漢字の画数が多い熟語と少ない熟語を読むときに、日本語母語話者と学習者とで差があるか(二要因・混合・2×2) * 漢字の画数が多い熟語と少ない熟語で、実在する語と実在しない語とで、日本語母語話者と学習者とで読む時間に差があるか(三要因・混合・2×2×2) !!08.6 先ほどの例のタイプは? +実験項目群について、事前・事後・遅延の成績に差があるか?   <<一要因・被験者内・3水準>> +統制項目群について、事前・事後・遅延の成績に差があるか?   <<一要因・被験者内・3水準>> +実験項目群と統制項目群とで、事前・事後・遅延の成績に差があるか?   <<二要因・被験者内・3水準>> *注意: 実験群と統制群が別のグループの場合は、**被験者間** *サンプルデータ: sugiura-iwasaki2.xlsx !!08.7 分散分析の流れ 分散分析をする <<交互作用があるか>> * ない場合=>各要因の**主効果**が有意か * ある場合=>交互作用の分析 **主効果は意味がなくなる **各要因の個別の水準ごとの<<単純主効果>>が有意か !!08.8 「多重比較」 * 差があることが確認されたら、 どこに差があるのかを見つける ! 3水準(条件)以上の有意な主効果もしくは交互作用があるか * ない場合=>End **2水準で有意な場合、差があるのはどこなのかは明白なので、多重比較する必要はない。 * ある場合=>多重比較(**二つずつ条件を組み合わせて、** **実際に有意な 差があるのはどこかを見つける) ***主効果が有意であった場合=>主効果の多重比較 ***交互作用が有意であった場合=>単純主効果の多重比較 !!08.9 具体的な分析プログラム ! R ANOVA君 http://riseki.php.xdomain.jp/index.php?ANOVA%E5%90%9B * バージョンアップごとに仕様が変わるので注意 ! js-STAR http://www.kisnet.or.jp/nappa/software/star/ * ANOVA君もこのjs-STARのデータ整理の枠組みを利用している * データの読み込み方法に注意 * データの形を確認 * あわせてデータをエクセル上で整形 * js-STARの表の下の横長ボックス内に、データをコピペ、で、「代入」 !!08.10 参考 ! ANOVA君の使い方 http://sugiura-ken.org/wiki/wiki.cgi/exp?page=R%2Eintro2015b#p7 ! 分散分析 * 中野・田中 2012 フリーソフトjs-STARで かんたん統計データ分析 https://www.amazon.co.jp/dp/4774150193 * 田中・中野 2013 R&STARデータ分析入門 https://www.amazon.co.jp/dp/4788513501 ! 反応時間の分析 * Jiang 2012 Conducting Reaction Time Research in Second Language Studies https://www.amazon.co.jp/dp/0415879345 ! LMEでの分析へ * LME = 分散分析+重回帰分析 ** 分散分析: グループ間の差の検定 ** 重回帰分析: 因果関係を想定した予測