論文指導
杉浦が主・副指導教員として担当した修士論文・博士論文のリスト
そもそも
日頃からたくさん文章を読み「言葉の感覚」を養っておくこと。
どう表現するかという表現の仕方は、慣例的に決まっている。慣例的に決まっている表現の仕方は、多くの例に触れることで身に付く。多くの例に触れなければ、どう表現するのが適切か・慣例的かがわからない。文字は書いてあり意味はわかるのだけれど「不自然」な表現になってしまう。
もちろん、第二言語であれば、そうした「不自然」な表現になってしまうことは多いが、母語でも同様のことが起きる。
判決文も診断書も日本語で書いてあり、意味はわかる。しかし、法律家でなければ判決文は書けないし、医者でなければ診断書は書けない。「それらしいこと」はまねすれば書けるが、専門家が見ればバレる。法律家は法律に関わる文章をたくさん読みたくさん書く。医者も同様。専門家というのはそういうものだ。
論文というのは専門家の書くものだ。素人には書けない。論文を書きたいと思う人(書かざるをえない人)は、専門家にならないと書けない。専門家になるには、たくさん読んでたくさん書かなければ専門家になれない。
いずれにせよ、まずはたくさん読むことだ。それなしに話は始まらない。
剽窃に注意すること
- 他の人の文章のコピペはバレます。
- https://plagiarism.strud.net/
- iThenticateですべてチェックします。
論文指導を受ける前に必ず自分で読んでおくべき本
- 本多勝一『日本語の作文技術』朝日文庫
- この本に書いてあることは、人に見てもらう文章を書く上での最低限のエチケット。
- Bell et al. (2019) ''Dissertations and Theses from Start to Finish: Psychology and Related Fields''. APA. 第3版
- この本に従えば、誰でも修士論文・博士論文を書けるようになる。
- 『日本心理学会 執筆・投稿の手びき』
- 文献一覧や図や表のスタイルについて、特に日本語で書く場合はこれに基づくこと。
ポイント
修士論文作成上の注意(博論ももちろん)
論文を人に見てもらう前に自分で確認すること
- 用語は統一されているか?
- 表記法は統一されているか?
- あいまいなところはないか?
- 漠然としたことは言わない。(いっても意味がない)
- 解釈のしようによっては自分の意図した読みも可能であるような表現はダメ!
- 自分の意図した読み以外の可能性のない表現のみが許される。
- 指示詞だけの表現は避ける。(あいまい)
- ×「これらは」
- ○「これらの実験は」
- 「and so on」などの表現は使わない。
- 「など」の中には具体的な情報はなく、逆に、情報をぼかしてしまう。
- 読み手は「敵」と思うように。
- 揚げ足を取られるような表現は命取り。
- 「事実」と「推測」をちゃんと分けているか。
- 「事実」を婉曲的に言ってはいけない。
- 「事実」なら断定する。
- 「推測」は断定してはいけない。
- 自分の「判断」を述べているところは「根拠」が示してあるか。
- 話の流れははっきりしているか?
- 関連する内容でも、どういう関連(位置付け)で述べられているかがわからなければ、「寄せ集め」になってしまう。
- 百科事典的に説明があっても、それが何を意味するのか、という解釈・判断がなければ、「So what?」と言われてしまう。
- バランスは取れているか?
- 内容的に同等の事柄は、量的にも同じくらいの文言で説明する。
- 「入門書」に書いてあるようなことをだらだらと説明してないか?
- 「論文」は「専門家」が読むもの。「音素」が出てくるからといって「音素とは」という入門書に書いてあることを「論文」で説明する必要はない。無駄。
論文の添削と校正
- なぜ直されたか、自分で考えること。
- 二度と同じことを直されないように。
- 校正の記号を覚えておくこと。
- 『校正記号の使い方』を買うように。
参考資料
日本語組版処理
https://www.w3.org/TR/2012/NOTE-jlreq-20120403/ja/
https://sugiura-ken.org