自閉症児の韻律

自閉症児の韻律:韻律音声学手法を用いた解析からみえてくる特性
第11回共創言語進化セミナー
タイトル: 自閉症児の韻律:韻律音声学手法を用いた解析からみえてくる特性
    (Intonational Phonology can shed light on the nature of prosody in Japanese children with ASD:
Dissociating linguistic and para-linguistic aspects of intonation)
講演者: 馬塚れい子 (理化学研究所 脳神経科学研究センター 言語発達研究チーム チームリーダー)

個々の言語特性について、個別に実験で観察すると、自閉症児も定型児と差がなく産出できる。しかし、自然発話を観察すると「不自然」を感じる。それは対人関係のやりとりにかかわる部分で、適切な使用をしていないということ。例えば、文末の助詞のイントネーションが機械的に付け足したようにフラットだったり、会話のやり取りの「間」を無視(「間」を認識できない)したり。つまり、やはり、言語能力が劣っているという問題ではなく、社会的コミュニケーションが苦手ということが、結果的にことばの使い方の「不自然さ」という形で現れるということ(「言語の問題ではなく社会性の問題」)。そういう意味では、前回の松本氏の結論と同じ。それにしても、実験手法の手際が素晴らしい。